宝石の王者ダイヤモンドは、古代の昔から「王者」だったわけではありません。古代から近世の手前まで「王者」は彩やかな色をもつルビーやエメラルドではあっても、決してダイヤモンドではなかったのです。地上で最も硬いことはしられていたけれど、"硬い"ことが"極上品"のシルシにはなり得なかったのです。
時は17世紀、ヴィンセント・ベルッシーという人が、それまでの「ローズカット」や「テーブルカット」というシンプルな13面体や10面体カットを"否定"して、初めて58面体の「オールドマインカット」というブリリアントカット原型に辿りきました。そしてその瞬間、まさにダイヤモンドは生まれ変わり、宝石の王者として君臨する第一歩を歴史に記したのです。
58面体のブリリアント・カットのダイヤモンドが、すべての宝石の中で最も強く、最も明るく、最も大きく、そして最も美しく輝くためには、つまり、そうして宝石の王座に座すためには、「地上で最も硬い」特性を必須条件としたのです。
丸みを持ったスクエア・シェイプの「オールドマイン・カット」は、後にラウンド・シェイプの「オールド・ヨーロピアン・カット」(18世紀)に進化を遂げ、更に、その思想を受け継いだヘンリー・モース(カッター)や、マルセル・トルコフスキー博士、またラザール・キャプテンといったアメリカ勢の革命家たちにより、「アメリカン・スタンダート・カット」なる、限りなく近いラウンド・ブリリアント・カットに到達しています。
そして、ダイヤモンドの新しいカッティング・デザインへの人類の挑戦は、現在なお止まることなく営々と続けられています。それは、この「王者の宝石」の新たなる美しさへの、飽くなき探究心に他なりません。
鉱物名炭素
産 地南アフリカ、オーストラリア、ブラジルなど
硬 度10.0
4月の誕生石・最も知名度が高く、最も硬い宝石
4Cとは CARAT:カラット(重量)、CUT:カット、 COLOR:カラー 、CLARITY:クラリティー (不純物の含有度)の頭文字を取ったものです。「4C」は世界的な鑑定基準があり、ごまかしが効きません。「4C」が一致した商品は必ず同等品です。GIA(米国宝石学会)基準をベースとしたAGL(宝石鑑別団体協議会)基準で厳正に鑑定されています。具体的には、CGL(中央宝石研究所)、GAAJ(全国宝石学協会)、AGTジェム・ラボラトリー(GIA-JAPAN)、DGL(ダイヤモンド・グレーディング・ラボラトリー)、GTC(日本ジェム・テスティング・センター)などが、ダイヤモンドルースの鑑定機関として市場での信頼性が高く、良く使われています。
記号「ct」で表されている数字がその石の重量を表しています。大粒の石はとても貴重です。
電子キャラット秤を使い○.○○○ctとコンマ3桁まで読み取ります重量単位はcaratで1ct=0.2gです。カラットの語源は昔インドでダイアモンドの計量に、何時も大きさの一定であるケラシオン(いなご豆)の実の粒を使ったのに由来しています。
プロポーション(形)とフィニッシュ(仕上げ=シンメトリー(対称性)とポリッシュ(研磨状態))を基に総合的に決定されます。
・EXCELLENT(エクセレント)
・VERY GOOD(ベリーグッド)
・GOOD(グッド)
・FAIR(フェアー)
・POOR(プアー)
の5段階に等級付けされます。
更にエクセレント以上のカットとしてH&C(ハート&キューピットエクセレント)と、3 Excellent(トリプルエクセレント)、その上のH&C 3E(ハート&キュ-ピットトリプルEX)があります。
ダイヤモンドは純粋な炭素(C)の塊ですが、窒素(N)を不純物として含むものが多くその分黄色味を帯びてきます。
一般には純粋無色なものをDカラーとし、以下E,F,G,H・・・・・・・・・・Zまで分類評価します。Zにいくほど黄色味が強くなり、評価が下がって安くなります。ABCを使わないのは、D以上のものの産出の可能性を残しているからだとも言われています。
カラーの評価をする時は各鑑定機関で基準が統一された「マスター・ストーン」で比較し、微妙な色の差異を判断します。
尚、Zカラー以下のダイヤモンドやピンク、ブルー、パープル、グリーン、オレンジ等のファンシーカラーと呼ばれる様々な色調を帯びたダイヤモンドは、別の分類評価をします。
通常ファンシーカラーは色の濃くて鮮やかなものが高価になります。(色によっても異なります。)通常ファンシーカラーは産出量が少なく、綺麗な物は無色のDカラーと比較してよりはるかに高価になります。 エンゲージリングにメインのダイヤモンドの他にファンシーピンクのメレダイヤ(小粒のダイヤモンド)をあしらうデザインも人気があります。
その多さ等で等級が決まります。磨かれたダイヤモンドを専門家が10倍に拡大し検査してインクルージョン(包有物)の有無、位置、大きさ、性質、数、色を総合的に判断してクラリティーの評価は行われます。
クラリティーの評価は、フローレス(FL)を最高に肉眼でインクルージョンが見えるI3まで11段階に分類されています。